健康な人がビタミン剤を服用すると寿命を縮める恐れがあるという、変な情報が出回っています。
高齢の女性では、一般的に使用されるいくつかのビタミンやミネラルサプリメントが、死亡リスクの増加に関連している可能性があります。
一部のデータによって、抗酸化サプリメント(VA・ベータカロテン・VE)が寿命を縮めるといった弊害を示すデータが報告された例もあります。
こうしたマイナス情報に出くわすと、サプリメントを飲むのは、とりあえずやめておこうかなと、思う人もいるかもしれませんね。
でも、本当にサプリメントは危険なのでしょうか。
サプリメントの有効性を証明するデータは数多く存在する
サプリメントを正しく使用することで、病気を予防したり治療に効果をもたらしたりすることは、数々の臨床検査によって証明されています。
サプリメント大好き人間の私などには、サプリメントのないくらしなど考えられません。
でも、反対にサプリメントを毛嫌いする人も多くいます。
このような意見の対立があるのは、栄養についての研究がまだ完成の域に達しているわけではないからです。
サプリメントの効果を測る実験の限界
特に栄養素(サプリメント)の効果を、正しく結論づけるには、まだまだ解決すべき問題があるのです。
栄養素は他のさまざまな栄養素と一緒に摂られてこそ、効果を発揮することは、周知の事実です。
一種類、あるいは数種類の栄養素を使い、効果を測っても、それが確かな効果とは断定できないということですよね。
また、栄養素の必要摂取量には個人差があります。遺伝的な体質や体格、生活習慣、食事の傾向、ストレスの強度、メンタルの状態など、一人一人の違いがあり、サプリメントの効果は一定しません。
簡単に言えば、自分がある目的でサプリメントを飲もうとする場合、思った通りの効果が出るとは限らないし、そうかといって、そのサプリメントが合わないというのでもなく、量が不足、あるいは吸収の問題ということもあります。
ある人には効果的に効いたけど、ある人には全く効果がみられないということもあり得る…
じゃあ、どうやって実験してるの?
通常の摂取量を大幅に超えた投与量で試験
一般的な栄養素研究では、実験条件をあれこれ細かく設定するのではなく、通常の摂取量を大幅に超えた投与量で試験をすることになります。
でも、そんな大量の栄養素を摂取した場合、効果は出しやすいが、人によっては害をもたらします。
ですから、冒頭にあげたようなマイナスのデータは、常識的な量のサプリメントを摂取している人が心配する必要がないものといえます。
サプリメントに頼る危険性
サプリメント自体が危険というより、サプリメントを妄信して、食生活改善に注意を払わないことで、健康を損なうことがあります。
ですから、第一は、「食生活改善を優先する」でなければなりません。
サプリメントの効果を体感したいなら、「食事でしっかりと栄養素のベースを固め、その上でサプリメントを適切に補う」ことが大切です。
滅茶苦茶な食生活をしながら、身体に必要な栄養素はサプリメントで摂ればいいというような考えは危険です。
サプリメント自体がどんなに優れたものでも、サプリメントだけに頼る栄養療法や、一種類の栄養素だけを摂り続ける健康法、適量を大きく上回る量を一度に獲ったりすれば、副作用が起きてもおかしくありませんよね。
“サプリメント”が健康を担う割合は、それほど大きくありません。
できる限り正しい食事を心がけ、健康を意識して生活を送る中で、補助の目的でサプリメントを役立ててこそ、最も効果を上げることができるのです。
自然な食事だけで、必要な栄養素を十分に補うことは、この時代では難しいと思います。
それは、環境の悪化や、食料の不足、高騰などによるものです。上手に使っていきましょう。